本来ならば愛情で深く結びついているはずの、カップル、そして夫婦・・・。しかし、近年になって「ドメスティック・バイオレンス」という行為が社会問題として注目されるようになってきました。ドメスティック・バイオレンスとは、男性の恋人や夫が女性に向けて行う「暴力」のことです。
ドメスティック・バイオレンスとは何か
ドメスティック・バイオレンスとは、「親密な関係」にある男性(恋人・夫など)から女性に対して行われる暴力を指します。教育レベル、収入、職業などに関係なく、様々な女性がこのドメスティック・バイオレンスの被害に遭っています。ドメスティック・バイオレンスは近年になってから注目されるようになった社会問題ですが、その歴史は古く、また、私達にとってとても身近な問題です。1998年に東京都民4500人を対象にして行われた調査によると、女性の3人に1人がパートナーの男性から身体的暴力を受けた経験を持ち、2人に1人が精神的暴力を受けた経験があると解答しています。また、日本の殺人事件の女性被害者の約3割は、夫もしくは内縁の夫によるものと言われています。さらに離婚調停を申し立てる女性の3分の1は夫の身体的暴力を理由にあげています。
ドメスティック・バイオレンスの種類は、殴る・蹴るなどの身体的暴力だけではありません。主要なものだけでも、次のようなことが該当します。
▼身体的暴力
殴る、蹴る
平手打ちする、棒で叩く
腕をねじ上げる、組み伏せる
かみつく、首をしめる、突き飛ばす
髪を引っ張る、たばこの火を押しつける、熱湯をかける
刃物で刺す、車でひく
▼精神的暴力
「出て行け」「口答えするな」と怒鳴る
高圧的な態度に出る
物を投げつける、物をこわす、おどす
外出や電話をこまかくチェックする
無視をする、欠点を挙げる
他人の前で恥ずかしい思いをさせる
実家や友人とのつきあいを邪魔する、禁止する
手紙を勝手に開ける、持ち物を勝手に点検する
▼性的暴力
セックスを強要させられる、レイプされる
望まない妊娠や中絶を強要する
避妊や性病予防に協力しない
無理やりポルノビデオやポルノ雑誌を見せたり、写真を撮る
▼経済的暴力
生活費を渡さない
仕事をやめさせて経済的自由を奪う
酒・ギャンブル・女性で生活費を使い込む
健康保険証を取り上げ病院に行けないようにする
財布や定期券を取り上げ通勤や外出をさせないようにする
▼子どもを利用した暴力
子どもに暴力を見せる
子どもに自分の無理な要求を押しつける
子どもを取り上げる
子どもを危険な目にあわせる