Personal tools

相馬市の活性化

written by 齊藤 貴義 on

私は福島県の相馬市出身です。今日は故郷の活性化方法について自分の考えを書きます(元ネタは相馬関係のコミュニティに自分が投稿した原稿です)。

相馬に帰ると、市の中心部でもシャッターを閉めているお店が多く、全国に広がっている「シャッター商店街」の傾向が出てきているのではと心配になります。田町の街路も美しく整備されましたが、歩く人はまばら。

実際の所、相馬の産業の現状ってどうなっているのでしょうね。
相馬出身の自分としては、できれば郷土の活性化に力を尽くしたいです。


まず相馬の産業の状況ですが、市役所のサイトで統計資料が公開されていました。調査年度がバラバラで単純に比較検証するのが難しい部分もありますが、平成8年〜9年以降、かなり急激に市の産業が落ち込んでいるようですね。

例えば、工業分野の製造品出荷額で見ると、

* 平成9年 12,773,792(万円) → 平成16年 9,682,454(万円)
およそ300億円ほど製造品出荷額が落ちたことになります。
* 平成8年には2,428あった事業者が、平成13年には2,293に減少
* 平成9年に632あった小売業商店数が、平成14年には575に減少

景気動向の余波もあるのでしょうが、年間販売額は大幅に変動しているわけではないので消費の冷え込みの直撃というよりは、既存の産業の統廃合が進んだことと、東京に資本を持つ大手チェーンが多数入ってきたことによる産業構造の変化かと思います。


自分も18年間相馬にいましたが、相馬の人は中の人には気さくに話すけど、外の人が来ると人見知りをしてしまうと文化が根強くあるように思います。店員さ んが常連のお客さんと気さくに話しているけど、知らないお客さんが入ってくると無愛想になったりというパターンにもしばしば遭遇したことが。それが地域の 暖かみや団結になっている部分も大きいと思いますが、今後は全国に大して相馬の地域や文化の良さを広くアピールしていかないと、全国で色々な地域が町おこ しに力を入れている中で、勢いに呑まれてしまう懸念がありますね。

1年に1度の野馬追いだけでは市全体を活性化するには足りないし、相馬の良さって野馬追いだけではないように思います。昔からの手作りの技や多彩な人材を輩出してきた教育とか、もっと活かして地域性を出していきたいですよね。


自分はいまIT企業に勤めていますが、WEBも積極的に情報発信していくべきではないかと思います。野馬追いも静的なサイトだけではなく、クチコミ情報を 取り入れた相馬メディアを開設するとか、全国のファンの会員サイトをつくって地域情報を配信したりとか、色々な方法が考えられます。

動画の配信も技術的には用意なので、相馬放送局をつくって、相馬の地域放送を流したりとか。相馬の歴史も相馬放送の中で伝えられて、それが YouTubeなどで評判になれば、原町だけではなく相馬にも人が来てもらえるように思います。工業地や住宅地の振興でもそうですよね。


他にも色々な方法が考えられるように思っています。やはり相馬のメインコンテンツは独自の歴史かなと思います。相馬の騎馬武者は時代劇にも協力していますが、自分達の町のために「相馬家」を題材にした時代 劇を自主制作するのもどうかと思います。

全国の歴史好きのためにPRもできるし、戦国時代から幕末の奥州の歴史を伝える教材として活用できたら、全国で相馬地方に対する理解と関心が深まります。 それと、相馬の内部では地域情報を共有できるようにしていく必要があるかなと思います。南相馬市コミュでも書きましたが、地域SNSがあると便利かなと 思っています。

また、市内各地にネットへの接続が可能な端末を用意して、一気にIT化を進める手もあります(市の予算だけでは限界があるので地域の 協力が不可欠ですね)。その際は高齢者にも優しい、案内ページとタッチパネルが必要かなとか。


私個人としては相馬の地域産業の振興に関心があります。ただ、地域産業の振興のためにはシャッター商店街を是正していく必要があるし、相馬の産業が東京や 他地方の産業と渡り合っていくための競争力を確保する必要があると思っています。

しかし、相馬市の財政状況も必ずしも良好ではないので(相馬市が出している資料でも、行政改革を実施しなければ平成20年代に財政再建団体に転落する可能 性があることを指摘されていますよね)、プライマリーバランスに配慮した財政出動と、地域の創意や自助努力が必要だと考えています。

シャッター商店街の対策としては、高齢者に配慮した街づくりが効果的ですね。特に公共設備へのアクセスは重要ですよね!現状の都市配置を変更するには予算 の確保が難しいので、地域センターをもっと増やして、公共の手続きをそちらで代行できるようにした方が良いかもと思いました。

私は 今は東京の千代田区に住んでいますが、千代田区も区内に幾つかの出張所や地域センターが配置されていて、活用状況も良いです(特に高齢者の多い神田地区な ど)

大手外食チェーンや小売チェーンなどの進出には別途対策を講じる必要があるのかなと思います。吉野家やマクドナルドが進出しても1店1店の影響は大きくないでしょうが、今や相馬にはブックオフもできたりなど東京資本の郊外型のお店がかなり進出してきていますよね。


市の中心部にあった軽食屋さんや古本屋さんとか大丈夫かな〜と心配だったりします。交通網の整備は、相馬にとって悲願でもあり非常に重要な目標でもありま すよね。ただ、交通網の整備は政府や国土交通省や県など色々な行政機関と調整しないといけないですが、歴史系のコンテンツの振興や都市計画など市内でやれ る部分で、もっと活性化していける余地があるのではないかと思っています。逆に、地域産業が未整備の段階で交通網が敷かれても、「ストロー効果」が発生す る懸念がありますよね。

□ストロー効果(ウィキペディア)

ストロー効果(ストローこうか)或いはストロー現象(ストローげんしょう)とは、交通網の開通により都市が発展したり衰退したりすることを指す。細かく見ていくと以下のようなものがある。

* ある交通網の分岐点が発展して分岐先が衰退する。
* ある交通網の起点・終点が発展して中継地点が衰退する。
* ある交通網の中で規模の大きい都市が発展して小都市が衰退する。


市の行政に直接タッチするものではないですが、市民レベルや市政レベルも提案やアイディア集めることは意義のあることかなと思います。本来的な意味では、 行政も市民が「こうやりたい!」ということを実行する機関なので、建設的に色々アイディア出してみるのは良いことではないかな〜と。でもご指摘のように一 番重要なのは市民の草の根の努力ですよね。

相馬市のクチコミ情報のポータルがあると便利かなと思っています。市内の色々な情報を集めたサイトとかSNSとか。オープンソースを使えば技術的には1時 間くらいで原型はつくれるので、何か構想を形にしてみようかなと思います。こういうサイトがあったら便利!というアイディアがありましたら、ぜひ

松川浦はもっと全国的にも名前が知られて良い場所ですよね。日本百景だし魚や海苔はおいしいし。松川浦観光協会のサイトはあるのですが、もっと積極的に 「日本潮干狩り普及委員会」とかつくって松川浦がリーダーになったりとか良いかもと思います。今は純粋に潮干狩りや磯釣りをしたい人を待っている状態です が、全国に潮干狩りや磯釣りの普及を呼びかけて、関心のある人自体を増やしたりとか。魚の情報ももっと発信していけるといいですよね。

そうすれば、観光客も増えて遊覧船も大きくなるかなと思います。磯関係の雑誌の発行もいいかもしれません。地理的には本当に穴場中の穴場で、東京から美味 しいものを食べに来たり、のんびり歴史観光を楽しむには絶好のポイントだと思うのですが、アピール方法とか工夫する必要がありそうですね。


相馬うまいものマップはいいですね!Google Maps使って地図に埋め込まれているとなお良いかもしれません。病院の診療時間は診療科と一緒に載せるのがいいですよね。あと、はじめて行く人はどんな 病院なのか不安だと思うので、院内の写真と先生のコメントが載っているとベストですね。飲食店も含め、相馬全体で使えるポイントカードとかあると便利かも と思います。ちょっと構想を整理してみますね。

市役所は、企画政策部の企画政策課が窓口かなと思います。でも、今は相馬市に住んでいなくて住民税を払っていない自分が行っても、市民の企画にはならない ですよね〜。うーん、やはり草の根で地道にが一番かな。石川島播磨重工の誘致は私もニュースで読みました。防衛と民間のジェット機のエンジン部品を製造す る工場ですよね。どんどん企業が入ってきて工業団地が活気づくといいですよね。IT産業も育ってほしいと思います。

□相馬工場の拡張工事が完成
〜田無工場を閉鎖し、相馬工場への移転集約を図る〜
http://www.ihi.co.jp/ihi/ihitopics/topics/2006/0517-1.html

常磐道は先でも書きましたが、現状で開通するとストロー効果が出てしまうのではないかという懸念があります。周辺の中核都市が通勤圏内になることで、相馬 から他の都市に働きに行く人が増えてしまうのではないかとか。実際、東京アクアラインの開通で、木更津は経済効果よりも川崎への人材流出や購買圏移動によ るマイナスが大きかったようです。その辺、バランスが難しいですね。


クーポン券が良さそうですね。うまいもの情報とセットなら、よし今度行って使ってみようと思うかも。あと、市外から来た人へは無料で「相馬パスポート」を 発行して、相馬の色々なガイドサービスを受けられるようにするといいかもしれません。そのためには市民ボランティアが必要ですね。そういえば、埼玉県も東 京に「さいたま領事館」を設置していますね。そんな感じで全国各地に相馬出身者が中心になって、領事館とかができて相馬情報を提供すると、草の根の威力を 発揮するかもしれません。今はアイディアを自由に集めて、何か取りまとめができるといいですよね。「相馬を良くするアイディア集」みたいな感じで。市民 も、出身者も、ボランティア団体も、市役所も、企業もみんなで検討することができそう。

デザインやナビゲーションは修正した方がいいかもしれないですね。Adobe GoLiveというソフトで作っているようですが、デザイナーがつくと大分変わると思います。

こちらは東京都庁が運営している観光ガイドです。

相馬の近くだと、蔵王観光協会はこちら。
http://www.zao-spa.or.jp/

同じ観光サイトでも、訴求性のあるデザインに工夫するだけで大分変わりますよね〜。

相馬の駅前に立つと、歴史と風情がある城下町というよりも、寂れた地方都市というイメージな風景が広がっているんですよね。駅前の景観はもう少し工夫した 方がいいのではないかと思います。城下町の様子を再現するとか、駐車場とか。相馬のズワイガニっておいしいですよね!「うつくしま浜街道」では東京からも お客さんが来てくださったのですね。そういうイベントを継続的に開催していくのが大事かなと思います。知名度向上のために、全国各地で試食会を開催すると か。 幾つかのフェーズに分けて戦略を練る必要があるかなと思います。

0.準備フェーズ(相馬の総合力を結集して活性化プランを練る)
1.普及フェーズ(全国で相馬キャンペーンを展開。相馬をPR。相馬の味を安価に知ってもらう。相馬関係のサイト構築)
2.迎えフェーズ(相馬ツアーを開催。とにかく相馬に来て楽しんでもらう。事前にクーポンや相馬パスポート発行、ガイド講習)
3.送りフェーズ(相馬に来てくれた人に、定期的に相馬通信を発行。相馬野馬追いファンの会員化。アンケートでより良い
改善を目指す)
4.通常フェーズ(相馬にしかないもの、相馬の良いものを、情報提供して適正価格で購入してもらう。販促方法検討など)


相馬市役所のWEBサイトの情報量はかなり豊富ですよね。実はちゃんと携帯電話用の防災速報のページも準備されたり(ただ、asp ファイルで構成されてるってことは、市役所のWEBサーバーはWindowsサーバーとIIS構成っぽいですね)。相馬の場合、まだ市役所や観光協会など 公共情報の発信が中心で、民間の地域ポータルが育っていないことが課題なのかなーと思います。例えば自分が以前いた中野区ではこういう地域ポータルがあり ました。

中野区タウン
http://www.nakanoku-town.com/

区民の口コミ情報・マンション・求人情報・地図・歴史まで、中野区の情報はかなりこのポータルにアクセスすると集められます。こういう民間の試みと公共情 報がセットになれば、市役所が発信している情報ももっと市民に伝わってきますよね。まずそういう地域情報発信の拠点となるサイトができると良いのかなと 思っています。

ただ、地方はWEBサイトを開設すれば直ちに活性化する、というものでもなくて、ねぎぼうずさんが書いているように、PCを持っていない人や、PC操作に 慣れていない方々も依然、多いという現実がありますね。mixiとか例にとっても、都道府県別のmixi利用率推計を調査したデータがありますが、福島県 は最も低く、総人口の1.1%。普及率は東京都の25分の1になっています。

全国都道府県別mixi普及率ランキング

そんな中で相馬関係のWEBサイトを開設しても、利用する絶対数は急に伸びてはいかないと思うし、活性化の決定打にはならないと思います。ただ、重要な支援策の一つにはなると思っているんですよね。


相馬のIT普及率を増加させていくには、一つには回線面でもコンテンツ面でもインフラをきちんと整えてあげることと、あとはパソコン教室とかと連携しながら少しずつ利用者を増やしていくことになるのかなと思っています。

実際この前、東京で開かれた地域SNSの勉強会に参加してきたのですが、パソコン教室から始まって、地域の高齢者を中心に少しずつ利用者を拡大させている ケースなども、けっこうあるみたいです。地道な試みになると思いますが、努力を積み重ねていくことが大事なのかなと思います。

タグ: シャッター商店街, 相馬


コメントをどうぞ